ゴブログ

好きなカルチャーとか.

MCR復活によせて

もう10年以上前の話になる、学生の頃の話。

 

高校生くらいって多分人生で一番周りに自分がどう見られてるかってのが気になる年頃で、服にしろ音楽にしろ「これ知ってたら、これ聴いてたら、まあある程度はいいよね・・・」みたいなのがあった様に思う。"いい"っていうのは周りからの承認欲求だったりとか、浮いてると思われたくない恐怖だったりみたいな、若い頃によくある"言葉にし辛いモヤモヤ"の総称だ。

今考えるとそんなんクソどうでもいいでしょ、自分が好きなもの探すのが一番だよと鼻で笑えるけど、中学を卒業してある程度親の目から離れられる様になり、漸く世界が開けて「自分で物事を選べる事が出来るようになる時期」に入ったばかりの人間にとっては、そういう"自分で選んだもの"は本当に絶対的だったんだよね。どんな人間でもこれはそうで、それが遅いか早いかの違いだけだと思う。だから自分が好きな物を馬鹿にされると今よりずっと傷ついてたし、腹が立った。わかんないけど、そういうピリピリした感度が少しずつ鈍くなっていって、大人になっていくんだと思う。ぼくは一度ほんとに好きになったものはどんなものでも嫌いになることはないんだけど、みなさんはどうですか。いつまでも自分が見つけたものは大切にしたいし、どんなことでも大事なもの,好きなものはずっと想い続けてたいもんだよね。モノも、音楽も、大事な貴方のことも。

 

で、ある程度音楽に詳しくなると、周りの人間に「洋楽ロックとかどれ聴けばいいのかわかんない。何から入ればいいのか教えてよ」と聞かれる様になってくる。

そんな時は必ず、まずはこれから聴きなさいよねとビートルズの"1"とzepの"Ⅳ"を渡してたんだけど、何故か大概反応が悪い。「よかったんだけど、もうちょっと今っぽいっていうか、流行りって感じのやつ・・・」その度に馬鹿野郎!と訥々とその2つのバンドの偉大さについて講釈垂れてたけど、上に書いたような事を思う今、その時の彼らの気持ちもよくわかる。

そんな時「わかったよじゃあこれ」ってちょっとぶーたれたながら渡してたものが表題のUS産ロックバンド,

My Chemical Romanceのメジャー2作目"The Black Parade"だった。

www.youtube.com

「音楽フェス常連、このアルバムめっちゃ売れてちょっと前Mステも出たよ」なんていいながら聴かすとみんなもうイチコロだった。3度5度組み合わせてキャッチーなオクターブリフぶっ飛ばす分かりやすいメロディも、The Cureからの影響バリバリのゴシックめいて洗練されたルックスも、元ヤク中でアル中で鬱病だったvoのジェラルド・ウェイが書く、若さ故のモヤモヤを「あるよね」と肯定してくれる歌詞も、せんに述べた高校生にウケない訳がない。音楽性とアイドル視されがちなルックスからファンと同じくらいアンチもいたが、あの時代でマイケミは間違いなく『今』だった。

勿論00年代中頃、マイケミ以外にも10代のキッズ達を熱狂させるバンドは沢山いた。リンキン始め、LostprophetsFall Out BoyTaking Back SundaySugarcult、A7Xなどなど。どのバンドも次世代のパンク/エモの中核バンドばかりだ。まだロックが今より世界的に人気があったあの時代。懐かしい。戻ってこい。イアンお前。

リンキンは世代がちょっとズレてるしもうメテオラが出て既にハネてたから頭一つ抜け出てたけど、次にドカンとハネたのはやはりマイケミだったように思う。1stでのゴシック/エモパンク要素はそのままに、2ndでロックオペラに挑戦してしっかり爆売れ。「これぞマイケミ」的な世界観を確立し他のバンドとの差別化に成功していた。今の時代の若手の紹介で「ポストマイケミ」って使ってるのちょこちょこ見るけど、00年代に活躍してもう終わったバンドの中で「ポスト〇〇」って言われてるのってMCRくらいなんじゃねえかな。ポストズートンズとかポストルースターとか全然言われないでしょ。デビューして10年弱,インディー含めてもたった4枚のALを残しただけのバンドなのに。

 

まだ覚えている。2007年の武道館公演。1Fスタンディング、運良く最前から数列目に潜り込めてライブを観た。まあ人が倒れる倒れる。特に女の子。凄い人数が運ばれていった。"ブラックパレードの完全再現"と銘打ったライブで、アルバム一曲目から順に披露していく。バンドとしてのアンサンブルは決して上手く無いし(ていうか確かジェラルドの弟、ベースのマイキーが結婚休暇で居なかった)、何故か音響も酷い。ジェラルドの声の調子も良いとは言い難い。しかし、これだけのマイナス要素があってもそれらを軽くぶっ飛ばす曲自体の良さと、シアトリカルなショーとしての完成度。ライブが終わっても興奮冷めやらぬ沢山のファンがいつまでも外で騒いでいた。勿論ぼくも。

 

そして2019年ハロウィン、マイケミ再結成の報。3年前にBPの10周年記念盤をリリース、色めきたったファンが騒ぎ、その時はバンド側がすぐ「活動再開予定は無いよ」とアナウンスし落ち着いたが、今回は完全復活。各国のTwitterハッシュタグがトレンド入りし、ロスでのライブもチケットは即完。如何に愛され、待ち望まれていたかがよくわかる。Finneas O'ConnellとかTwitterで超騒いでたし。兄妹2人して大好きなんだよねあいつら。

とても有難いことに来年予定されているDownload Japan Fesでヘッドライナーとしての来日も決まり、待ち望んでいた日本ファンも復活を自分の目で観れる事になった。あの頃を知っているファンも、知らないファンも、チケットさえ手に入れれば平等に観れる。素晴らしい話だ。本当にバンドの再結成は素晴らしい。ねえマッドは?

 

このバンドはアイドルバンドと揶揄されてきた割に分析してみると中々面白い話が多い。BPの歌詞から見るジェラルドの死生観や、同じプロデューサーの元で製作したAmerican Idiotとロックオペラとしての共通点と相違点、彼らが目指したであろうQueenへのリスペクトとバンドの精神性。

とまあ、まだまだ伝えたい事が沢山あるんですが流石に長くなりましたのでまた今度。今日は触りくらいにして、いくつか曲貼って終わりにします。

 

www.youtube.com

I'm Not Okay (I Promise)

彼氏がいる女の子を好きになってしまった男。その女の子に「ねぇ、どうしたの?何かあったの?大丈夫?」と心配され、心の中で「大丈夫じゃないよ!」と返す。

ハメ撮りの下りから、ブリッジの「本当のこと言うね、全然大丈夫(嘘だけど)」と強がるところまで、若い頃にありがちなモヤモヤをとても上手く表現している。MVはメンバー演じるスクールカースト底部のTarget達がJockへ復讐するストーリー。甘いかどうかはわかんないけどまさにRevengeです。まるで映画みたいで面白いよ。

 

www.youtube.com

Teenagers

The boys and girls in the clique
The awful names that they stick
Your never gonna fit in much, kid
But if your troubled and hurt
What you got under your shirt
Will make them pay for the things that they did.

男子と女子は徒党を組んで

ひどいあだ名で呼ばれる

君にはそれを受け入れることは出来ないだろう

だけどもし君がそれに困り傷ついていたら

そのシャツの下に隠れているものが

彼らがした事に責任を取らせる筈さ

大人のいいなりになんかなるなよ、という強いメッセージソング。

hurtからheartを想起させてるんだと思うんだけど、いい歌詞だよね。

 

 

いかがでしたでしょうか。高校生の頃くらいで熱は冷めて、3rdがイマイチな出来だったのでマイケミなんてずっと聴いてなかったけどいざ再結成していざ記事にしてみるとこんなに長くなりました。歌詞は和訳が沢山転がってるし、勿論歌詞を知らなくてもキャッチーなサウンドだけでしっかり楽しめるバンドだと思います。

知らない人はこれを機に是非。そしてマイケミは武道館再公演を是非。

 

次の記事はパレードはパレードでも黒い行進じゃなくて雄牛の行進、そうRATMです。これも長くなるなあ、きっと。

では。